アンジェラセミナー、追記。
犬と犬と関係に食べ物を使わないことが多い、アンジェラ。
食べ物では犬同士の関係を改善させるためには、限界があるのではないかと、考えるようになりました。
そして、ブルケリのランディの件でその考えはあながち間違っていないような気がする、へちまこです。
以前、このブログの記事で「ダン・ジョージ酋長のことば」と「GoodBoy GoodGirl」というスピッツ親子とリデルの出会いを書いたことがあって、いろいろな方から共感をいただきました。
どんなに吠えていても、スピッツたちがこちらを向いて吠えている姿を見ると、本当はその犬は犬との関わりを求めているのではないかと思えるような出来事でした。
そのスピッツ親子は、今でも出会いがしらは吠えてくれますが、それは「ねぇねぇ。げんきだったぁ~。こっちに来てよお~」という、犬同士でなら通じ合うことのできる吠えなのです。
アンジェラは、その犬の真実に触れようとします。
でも、その真実を知るためには食べ物は必要ではないのです。
もし、ブルケリのランディとのセッションの時、食べ物を使って『リデルと仲良くおし、そら、おいしいものあげるから…』と、理想的な(人のね)仲良しの場面を作ってしまったら、ブリケリのランディは食べ物によって本当に望んだものへの焦点がぼやけてしまったのではないかと思うのです。
ランディが望んだものは、同族との触れ合い…おたがい匂いをかんだり、同じ地面の匂いをとりながら目配せしたり、気が合えばふれあったりすることだったのですから。
ランディは、リデルに3度ほどぶっ飛ばされました。
最初の出会い、中間のパーソナルの取り方、近づき方…すべてにダメだしの揚句のぶっ飛ばしです。
それでも、ランディはリデルからは大きく離れて歩くということはありませんでした。
むしろ、より相手を知ろうとしているかのように、自分のシグナルを試すかのようにリデルのそばをつきず離れずでfollowingをするのです。
(ランディの頭部がリデルより下がりだしてますね。肩の力などが抜けるにはもっと時間が必要ですが、リデルからのシグナルで『相手が気分を害してるんだ』と、引くようになってきました)
もし、人間がリデルと同じようにしたら、ランディは何を思ったでしょう。
ランディは人にはジェントルな子です。
きっと人のために“これはいけないこと”と、学習できたとは思いますが、そこで失うもの、同族への憧憬はもう二度と戻らないかったかもしれません。
ランディが望むものは与えることはできないのです。
この日のふたりのやり取りから、へちまこは犬への攻撃性を抑えることのできるのは、やはり同族なのかもしれないと思ったのでした。
人間が教えられることは、「犬を攻撃するな」「無視しろ」ということぐらいです。それもずいぶんと時間をかけて教えないとなりません。
その何時間もの時間を、Teaching dogはわずかな時間で相手に悟らせることができるのです。
それも、食べ物の力など必要なく。
これはいったいどういうことなのか?
ヒエラルキーの問題か、はたまた、とおに薄れたであろうオオカミであったというころの遠い遠い彼らの記憶に残る、群れへの回帰なのか…
(すばらしいパーソナルの取り方ですね。どんな相手にも突進していったランディ。でもそれは君の気持ちを無視する相手への抗議だったのかしらね…)
Teachingdogの存在を知らない、または、犬語のやり取りを知らない人が見れば、単に近づいていく犬に強烈なボディアタックをかますリデルの方が悪い犬に捉えるでしょう。
でもそこには、同族しかわからない深い深い意味があるんだろう、と、思わずにいられないのです。
その意味を、これからも探れるような出会いがあるかぎり、アンジェラのように犬を観ることができる日が来るのかもしれないと思うのです。
この記事は、私の犬であって、その世界を教えてくれる先生でもあるリデルをはじめとする犬たちに、感謝の意として贈りたいと思います。
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コメント
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人がどんなに望み願っても伝えられない犬達の言葉
・・・
少しでも垣間見えたらと参加したアンジェラのセミナー・・・
いろんな発見があったけど、私にはまだまだ見えない事ばかりです。
いつかは犬達の事もっと深く感じとれたら
何度もぶっ飛ばされていましたよね
それでも何度となく試みている姿をまじかで見ていて、へちまこさんが言われている様に同族との係わりをランディ自身が強く望んでいるのが感じられました。
もしあの時、あれ以上ランディがリデルとの係わりを望まなかったとしたら、目にする事が出来なかった事もあっただろうと思うと、貴重な体験をさせてもらえた事、犬達に感謝せずにはいられません。
同族との係わりを求めるのは犬自身ですが、その機会をあたえてあげられるのは人なんですよね。
そして、それを奪ってしまうのも・・・反省です
投稿: ランディまま | 2010年12月 6日 (月) 01時32分
盛況の(?)うちに無事セミナーも終了されたようですね。
リデルも益々プロ級の腕前になったようで、何よりです。
色々な子の為に頑張っている姿が本当に頼もしいですよね。
へちまこさんがおっしゃるように、サトリの態度も犬語を理解していない方にとっては、脅威的に見える場面も多いと思います。特に身体が大きいから余計でしょうけど。(サトリが悪い場面もないわけではないですが
もっと多くの方が犬のコミュニケーションに興味を持って理解してくれる事望みますね。
投稿: サトレラママ | 2010年12月 6日 (月) 21時52分
ランディままさんへ。
セミナーへのご参加、ありがとうございました。
少々難解?な部分も多々あっ多様で、申し訳なかったです。
>何度もぶっ飛ばされていましたよね
ええ
大事な、犬息子さんを申し訳ないです
>それでも何度となく試みている姿をまじかで見ていて、へちまこさんが言われている様に同族との係わりをランディ自身が強く望んでいるのが感じられました。
ランディの意思なんでしょうね。
して、自分から離れるはずですから。日曜日の教室ではリデルのランディへの監視がそれほどなかったのを気づかれました?リデルのランディへの監視レベルが
始めてましたね~。
もし、ランディにその意思がなければ、リデルへの危険レベルは
>もしあの時、あれ以上ランディがリデルとの係わりを望まなかったとしたら、目にする事が出来なかった事もあっただろうと思うと、貴重な体験をさせてもらえた事、犬達に感謝せずにはいられません。
それが人の教えることのできない犬語の世界だと思っています。
いくら犬の行動学に精通していても、教え切れるものではものではないだろうと、思っています。
いつも犬たちには、貴重な体験をさせてもらい感謝の山を築いています。
>同族との係わりを求めるのは犬自身ですが、その機会をあたえてあげられるのは人なんですよね。
そして、それを奪ってしまうのも・・・反省です
ランディママさんは(ぱぱさんも)ランディのことをよく考えてくださってますよ。
マズルガードの件も。。。頭が下がります。
なかなか踏み込めない方が多くて。でも、それが大きな前進を産むんですが。
Teachingdogという存在が日本で定着するかどうかは全くの未知数ですが、ランディのように犬との関わりを求める犬のシグナルをひとりでも多くの人間に知っていただいて、あらぬ誤解を受ける犬が一頭でも減ることを願っています。
投稿: へちまこ | 2010年12月 6日 (月) 23時29分
サトレラママさんへ。
ご訪問&コメント、ありがとうございます。
盛況のうち、無事にセミナーが終わりました(笑)
>リデルも益々プロ級の腕前になったようで、何よりです。
色々な子の為に頑張っている姿が本当に頼もしいですよね。
近ごろは、めっきり、歯目を外すこともなくなり穏やかに過ごしてはいるんですが、睨みが強いですね~。他の犬のために頑張ッているんだかどうだかは?ですね~
アンジェラは『他の犬を幸せにしたいという情熱があるのがTeachingdogだ』みたいなこと話されましたが、リデルの場合、若オスにはかなりの厳しさ(これが情熱?)がありますから冷や汗もんです。
>へちまこさんがおっしゃるように、サトリの態度も犬語を理解していない方にとっては、脅威的に見える場面も多いと思います。特に身体が大きいから余計でしょうけど。(サトリが悪い場面もないわけではないですが
もっと多くの方が犬のコミュニケーションに興味を持って理解してくれる事望みますね。
うんうん、同感です。
リデルも傍からはケンカを売ってるように見えるんですが、よぉ~~く観察していると全く違うんですよね。
サトリちゃんの犬語のレクチャーを知らずのうちに受けている運のいい子はたくさんいるのではないかしら?
遠くから、サトリちゃんへ、エールを送りますね~!
フレーフレー、サ、ト、リ\(^o^)/
投稿: へちまこ | 2010年12月 6日 (月) 23時49分
自分の記事すら書けていないのに、また来ちゃいました。(笑)
確かに、アンジェラセミナーは初級レベルではなかったですね。 初級レベルというと、耳が前傾の時と後方に向いているときの違い、口角が狭い時と広いときの違い、尻尾の振り方、速さの違いなどなど。 ある程度、部位ごとの話が必要な気もしつつ、でも結局はそれらの組み合わせを全体で総合的に判断する必要があるから、部位に特化した説明をされたとしたら、それはナンセンスだろうなぁと思ったりもしました。
体の緊張の度合い(硬直度合い)を示す話として、背線(トップライン)という表現で度々話しておられたのが印象的で、言われてみれば、確かに背線は状況で変わるよなぁ。と、納得。
こんな具合に言われて解る人もいれば、その状況を幾度も見てきた経験がない人にしてみれば、言われてもピンと来なかったり。
「解る人には解る。」といった、そんな話が多かったですね。 超毛種の場合、筋肉の状態をどのように判断すれば良いか? という質問があったでしょ? 実は僕もその質問をしてみようかと思ったのですが、自分はそこまでの説明で感覚的に解るから質問事項から省いてしまったのですが、逆に人から説明を求められたら僕は具体的に答えられない訳です。 でもアンジェラ先生は、「長毛種は動きが柔らかいのが特徴」と仰っていましたね。 この時、「なるほど! 確かに柔らかい動きだ!」と、妙に納得すると同時に、感覚的なことを具体的に言葉に示せるアンジェラ先生は凄いと改めて思った瞬間でした。
ちなみに毛の多い長毛種と聞いて僕がすぐに思い浮かぶのは、サモエド、ピレニーズ、パピヨンといったところですが、短毛種の身のこなしは剛が多いのに対して、確かに長毛種は柔の身のこなしが多いですよね。
と、アンジェラ先生やへちまこさんから教われば解ることは多々あるものの、それを言われずとも観た瞬間に解るようになるまでを極めるのは、犬馬鹿でも楽じゃありません。(苦笑)
投稿: タローの主 | 2010年12月14日 (火) 02時26分
タローの主さん。
大幅にコメレスが遅れてまして、ごめんなさいです。
たまりにたまるメールへの返信に追われてました~。
それから、トラバ、ありがとうございます。
いろいろな犬についての勉強中の主さんのレポート、首を長くして待っていますよ。
アンジェラのセミナーは難しいです!
へちまこもさっぱりなことが多くて…それでも、脳内の巻き戻しがスムーズに行くようになるつつあるので、あの場面、この場面が脳内で再現されるようになりました。
へちまこは、アンジェラのように犬を観ることのできる人はあまりいないだろうと思います。貴重な存在で、それは机上や文書からは得られないものであるように感じます。
そういうと、アンジェラがただの勘や経験だけで犬を語っているように思われる方が多いようですが、主さんも実際にアンジェラに会ったひとりとして、それは間違いだと気付いたと思います。
犬の筋肉の動き。たとえばのどの筋肉の動きのひとつとっても、縦の動きと緩みの動きがあって前者は攻撃の手前の動きで、リデルが凶暴な
時期には大変参考になりました(興奮を抑えて相手に狙いを定めるときに唾液を飲み込む動作をするときがあります)
分かる人にはわかる…よく観察しろってことでしょうかね~。
>アンジェラ先生やへちまこさんから教われば解ることは多々あるものの、それを言われずとも観た瞬間に解るようになるまでを極めるのは、犬馬鹿でも楽じゃありません
ええーっ、アンジェラと並ばせないでくださいよぉ!
近ごろやっとやっとですから
主さんの犬バカぶりには感服と完敗ですからね~(笑)
投稿: へちまこ | 2010年12月18日 (土) 01時50分