最後の砦。
ジャックのカイくんは一歳のころ、大きな犬に追われて以来、大型犬は苦手、怖いという気持ちが強くなってしましました。
それまでは、リデルともよく遊び転げて、おたがいが好きでたまらないという関係でしたが、カイくんはリデルさえも怖がるようになってしまっていました。
リデルは公園でカイくんに会うと、遊ぼうよ、とお誘いをするのですが、逃げてしまうばかりのカイくんをいつも残念そうに見送るばかりでした。
そんなカイくんでしたが、いつの間にか(でもとても時間がかかりました)立ち直り、以前のようにリデルとも遊べるほどに回復したのです。
今では、ああ、リデルだあぁああ~、ああ、カイくんだぁ~、と駆け寄りながら遊ぶふたりに復帰しました。
カイくんの復帰の手助けをしたのは、飼い主さんの弛まない根気もありますが、へちまこは、去勢を早まらなかったことが大きいなぁ~と思っています。
今では、去勢避妊が当たり前なことですが、へちまことしては弱い気質の♂犬は早まらない去勢をお勧めすることがあります。
あと社会化不足で、引っ込み思案になってしまった♂とかも。
どの生物も、つまるところ自分の遺伝子を後世に残すという、偉業があります。
だから、ご飯さえ、喉も通らないほどの恋患いがあるのです(まぁ、懐かしい言葉~)
異性に対する興味や、繁殖欲求がそのオス犬を救うことがあるからなんです。
あまりにも早い去勢が、♂犬としての自信を奪い、本来あるはずのメスと会うためには野を越え山越えエンヤコラ、といった強い気持ちを奪われてしまう…♂犬としての自然な自信は萎えてしまうと思うのです。
それが原因で、去勢オスがもっとも咬む、ということがあると聞いたこともあります。
カイくんは、雄性ホルモンの助けを借りて、他の犬との交流をもう一度楽しめるようになったのです。
もちろん、気の合わない♂同士だと、牽制が始まりますが、飼い主さんがそれをわかっている、これが重要で、早期に介入することで争いは避けられるのです。
そして「カイは十分、リデルに遊んでもらったんだから、もう譲ってあげようね」と、いう飼い主さんの精神がカイくんを安定させたのかもしれませんね。
♂犬とは、仲良くできなくても、本来の社会化とは違うかもしれないけど、ちょっと卑怯かもしれないけど、♂犬としての最後の砦があるから、犬として振舞えることもあるんだ、と思いたいへちまこです。
異性ぐらいには、近づける勇気は奪わないでほしいかなぁ~。
でも、あまりにもメスを求める♂には去勢をしないと、それがストレスの要素になったり、すぐに本気なケンカになるようなオスは、去勢は必要だと思います。
だけど、犬にもジェントルマンがいて、けっして血眼にならず、メスを敬い、尽くし、エスコートできる犬は、いるんですよ。
へちまこんちは、ワンダーランドくんでした。
ワンダーは、良く去勢♂に間違えられるほど、ジェントルメンでした。
マーキングも心得ていて、他所で(お宿や他の家)お足を上げることなどありませんでした。
意中の女の子に会えば、それこそ、礼儀正しく振舞い、ディナーに颯爽と誘うのです(笑)
そんな犬にも去勢をするべきかどうか?
不幸な命を増やさないため、病気にしないため、保険の掛け金が安くなるという、名目で、全てを奪える人間のひとりとして、たまにとても考えます。
こんなこと書くと、保護活動する人間の癖に災害時を考えろ、といわれちゃうかな~、いや、実際言われます。
なんで、保護活動する人なのに未去勢なの、未避妊なのって…。
もちろん、むやみな繫殖は避けるのが当然です。
いわれちゃってることは当然です
だから、未去勢未避妊の飼い主は、そういった犬の管理は肝に銘じておかないとならないと思っています。
早期避妊去勢手術は大切なことですが、そればかりでは解決しないこともある犬の社会もあると、ご理解いただけたらありがたいです。
では。
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コメント
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コタローは早熟で5ヶ月頃にはメスに夢中で
GOGOマウンティングな時期がありました。
メスの犬友達からは怒られるどころか
相手もどうぞ~♪みたいな状態にもなったりしていて
止める私がヤボだとコタローがイラついたりしたこともありました。
結局6ヶ月で去勢をし、メスへの過度な興味は薄れたのですが
今思うとコタローのストレス軽減とかいいながら
私が手を抜く言い訳だったんじゃないかと考えることもあります。
コタローの周りでも未去勢ながらジェントルマンはいますし
犬への社会化がちゃんとできておりメス慣れしているオス犬は
未去勢だろうがメス犬を尊重するものですし
がっついてしつこく追いかけまわすこともありません。
そういう犬を見るにつけ
未去勢でもちゃんと自制できる方法を教えてやれたんじゃないか
それを試すこともなく去勢してしまって果たしてよかったのだろうかと
考えることがあります。
当時はそれなりにちゃんと考えて去勢に踏み切ったつもりでしたが
あれがまだお互いの関係ができてない6ヶ月の頃ではなく
3才の今だったとしたら
コタローに去勢をするかと考えると「する」と言い切れる自信がありません。
一般には去勢をすることのメリットはいろいろといわれますが
去勢をしたことによるデメリットは、肥満の心配くらいでほとんど言われません。
私もたまに「去勢するとおとなしくなりますか」と聞かれることがありますが
「むやみやたらにメス犬を追い掛け回すことはなくなるかもしれまんせが、そのほかは変わりないです」と言ってます。
でもたまに会った未去勢の若いオスに
避けても怒ってもしつこくマウンティングしかけられているコタローを見ると
これも去勢の影響なのかと
何かオス犬として大切なものを奪ってしまったような気がして申し訳なく思う時があります。
自分の犬の性別を聞かれて
「もとメスです」とか「オカマです」
という飼い主さんがたまにいるのですが
(まあ冗談なんでしょうけど)
去勢しようが避妊しようがメスはメス、オスはオスで変わりがなく
同じく去勢したコタローのオス犬の部分を否定されたような気がして
実はちょっと寂しい気持ちになります。
野良猫のTNR等人間が管理しきれない場合は
去勢や避妊は必要なんだろうなと思いますが
いつか「飼い犬であるにも関わらずきちんと管理する手間を惜しむあまり、人間は犬に去勢・避妊という野蛮な方法で解決しようとした時代がありました」
とか言われる時代が来たりして・・・なんて思っています。
長文失礼しましたm(_ _)m
投稿: まきママ | 2011年10月 2日 (日) 13時20分
まきママさんへ。
長文なコメント、ありがとうございます。
何度も読み返していました。
犬の去勢避妊は、もう、当たり前のことのようにどのしつけ本にも書いてありますものね。
難しい問題ですよね。
獣医医療面では早期手術を、行動学面ではあまり早い手術を勧めない先生もいます(うちの先生がそうかな)
オス犬が自分の性に目覚めて♀を追い求めるようになるのはごく自然な行動ですよね。
でも人にとって都合がいいなら、去勢もひとつの選択肢だと思っています。
それで、人と犬との関係がおたがいのストレスもなく過ごせるなら、その選択肢は間違ってはいないと思います。犬は野生ではないから人が諸々のことをコントロールしないとならないわけですから。
ただ、記事のカイくんのようにある事件がきっかけで、犬全般が怖くなった、社会化不足で♀もオスも確かめられないほど犬を怖がるようなタイプの子、外への恐怖があって外出できない子は、早い去勢はお勧めできないと思っています。
カイくんは、オスに対して牽制するようになりましたが、♀にはジェントルメンです。
これはごく自然なことです。
誰だってどの生物だって、大半はオスは、メスに優しく振舞うものですから。
ただ、オス犬が一番難しくなる時期、生後6カ月から2才~4才は、おたがいの関係ができてない時に重なってしまって、去勢に踏み切ることになってしまう飼い主さんが多いかな~と思っています。
コタローくんは、安定した気質の持ち主だとお見受けしますし、やさしい目つきの柴男子だなと、拝見できます。
その穏やかさは、やはり去勢は関係してるかもしれませんね。
未去勢だと、気の荒いオスに絡まれることもしばしばあって、それがストレスのひとつにもなります。
コタローくんは、買いたくもないケンカに巻き込まれずに済んでいるから、その穏やかさが維持できるのかもしれません。
まきママさんの少し寂しいコタローくんへの気持ち、なんだか読んでいて、人間って、なんだろう?って考えてしまいます。
他の生物への生殖までにも干渉し、増えたら減らし、減らしすぎたら再生しようとする、その身勝手さを考えてしまいます(話それますが)
その身勝手さを、まきママさんはわかってらっしゃるひとりだから↓
>野良猫のTNR等人間が管理しきれない場合は
去勢や避妊は必要なんだろうなと思いますが
いつか「飼い犬であるにも関わらずきちんと管理する手間を惜しむあまり、人間は犬に去勢・避妊という野蛮な方法で解決しようとした時代がありました」
とか言われる時代が来たりして・・・なんて思っています。
なんだろうな~と、思った次第です。
そう感じ取ることのできる、まきママさんは、よき犬飼い人のおひとりだと思いますよ。
もし違っていたら、(*_ _)人ゴメンナサイ です。
投稿: へちまこ | 2011年10月 4日 (火) 10時56分