易しい愛の遮断。
へちまこの友人が犬に対して「無視」という行為について、とても共感できる記事を書いているのですが、友人の記事は認証制なのでみなさんに読んでいただくことができなくて、少々残念です。
犬の人の社会で不敵切な行動を修正する時に、一定期間無視する方法を「愛情遮断」と著す場合があります。
割と古くからある手ですが、これをうまく使うとことで犬にも犬の保護者さんにも、今までのことを整理して新しいスタートを切れるようにしていきます。
犬は我が家にいるわけですが、犬がいながらにして犬のいない生活を送っていただくのです。
ですから、犬からのアプローチは受け付けないし、人も必要最低限の犬のお世話しかしません。
そんなこと、辛くて、かわいそうで、できないって!
ええ、多くの方がそういいます。
でもその無視こそが、新たなスタートを切らせる、大切な通過点なのです。
で、へちまこの、今、関わっている事例ですが、咬むという問題を持っている小型犬のことです。
トリミングが必要な犬種なのですが、トリミング時にパニック的に噛みつきが出るということで、トリマーさんにもすまないし、犬のメンタル的なこと、ストレス的なことを心配していました。
自宅でもお手入れ時や足を洗う、口の周りをなどに対して過剰に反応するようでした。
この子にも現在に至るさまざまなヒストリーがあって、噛みにはこのトリミングに関することだけではないし、また、保護者さんもほったらかしにしていたわけではないのです。
そう、いわゆる巷で言うところの噛み犬といわれる犬です。
ちゃんと専門家というトレーナーさんにも見ていただいてました。
それでも足踏み状態が続き、まぁ、縁あって、へちまこのところにもご相談にきてくださいました。
へちまこはまずどんな方法を今まで使ってきたか、聞き取りをしてから、一定期間の無視をアドバイスしました。
なぜって、そりゃーもうっ!
食べ物ごほうびの多用で、ごほうびがごほうびとして機能しなくなっていたからです。
無視期間を設定してしまうと、その期限が切れることを期待する保護者さんがいるので、期間を設定しないか、告げないでおきます。
1週間ごとの報告と犬の表情を写した写真から、この対応がうまく言ってるかを判断していきます。
で、3日もすると保護者さんたちの犬をかまいたい、犬の気持ちを察してあげたい、犬の視線に応えてあげたいという気持ちが薄れていきます。
保護者さんたちを噛みに来たら、あわてず騒がず、でも、犬の噛んでくる行動をさせないようにしていきます。
そう、噛みつかせてはならないのです。
サークルに入れるとか、クレートに入れるとかするほどのレベルではない限り、へちまこは犬を自由にしてもらいますが、噛んでくる、噛みつくという行動がでたらすぐに対応処置をしてもらいました(これはさぁ、書くと長いから書かない)
犬が寝てばかりいて心配です…犬が側に来なくなりました。というメールをいただくようになると「愛情遮断」がうまくいっていると判断します。
お散歩も無言(排泄のみで帰宅する)
ごほうびもない(ご飯は出しますがこちらからの要求はありません)
お散歩中の他犬への吠えかかりにも反応せず歩きます。
愛情遮断中は犬の問題行動だなと思われることにいっさい反応を返さない、ということが味噌になります。
そんなこんなで3週間ほど。
お手入れや足拭きを再開したところ、噛まない!
パニック的に噛んでたトリミング時も噛まない!(パニックを起こさなくなった)
噛んできそうになったら「我慢だよ」と、畳み込むように言えば我慢するようになったのです。
えっ、怖い顔して脅かすんだろって。。。そんなことしたらこの神経質でキレやすい子の神経逆なでして、また咬まれます。
唸ったり噛んできそうになったらすぐにやめてあげますが、犬から離れ、犬がそばに来ても人が離れます。
そう、愛情遮断に戻します。
犬はバカではないから、自分の行動の結果というものがわかります。
受け入れれた方が結果がいいとなれば、我慢することを選択していくようになります。
そして、これはごほうびの手順を変えることと、ちゃんとお手入れやトリミングを受入れ、噛むということを我慢できたらごほうびにして、今までの噛みがなくなったケースです。
(そもそも犬の行動学をベースにしたトレーニング方法は人からのわけのわからぬ愛情というもので犬を混乱させないものであったのでは?)
だって、最初に聞いた対処が、食べ物を犬の目前においてマテさせて、その間にお手入れで、我慢できなくて唸ってきたら食べ物でごまかして、また食べ物おいてマテさせて…
なんだか違う条件付けのような?
これではお預けさせているだけで、いやなこと苦手なことだけど我慢しなくてはならないと、学習させてないからだと思うのです。
だって、東大のえらい博士が言っていました。
「我慢する脳は、社会を作るんです」と。
人の社会への社会化って、我慢しなくてはならない時もあると教えてあげないと。
そして、食べ物ごほうびの使い方もごほうびとしてちゃんと機能させないとね。
犬に優しくしなくては犬の心が壊れるって言われてもねぇ、犬が人に優しくない場合はどうすればいいのか、犬に易しく教えてあげないと犬もわかりませんって。
毎週、木曜日にいただくメール。だいぶ短くなってきました。
メールのご報告が短くなったのは、犬が安定してきていることを示唆しています。
最初の頃のどえらく長いメールは保護者さんの並々ならぬ心情の表れです。
まだパパさんのことを監視する素振りがあるようですが(パパさんは犬にかまってもらいたい派だからね~┐(´-`)┌)先週一週間は一度も噛みつきが出ていないとのこと。
それに一番喜ばしいのは、あれほど苦手だったトリミングもトリマーさんの「我慢だよ」で、最後までできるようになったこと。
お家でのお手入れが終わると今まで食べ物をもらってたけど、いらなくなってきたこと。
ママさんのほめ言葉だけでも満足するようになってきたこと。
そしてあと一歩、ママさんとパパさんとこの子の関係が再構築されたら、新しいことにチャレンジすることはたくさんのほめ言葉とごほうびがもらえるだなぁ~~、を、この子に教えてあげてほしいと思っています。
それが自分への自信につながるのですから。
三年間の足踏み状態、お疲れさまでした。
*、あっ、これは一例ですから、安易に真似せず、専門家のアドバイスを必ず受けてからにして下さいね。個々での対応、その犬の家庭環境でも取り組み方が違いますから
ゴスロリの定番、ボンネットかぶってみました`;:゙;`;・(゚ε゚ )ブッ!!ある意味似合うよね。
似合うかしら~(記事と写真は無関係ですよ)
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コメント
この記事へのコメントは終了しました。
無視は可哀そう、って言うのは、「無視する=悪い子だから罰として無視します」って言う感覚なのかでしょうかね~。でも、この場合の無視は、飼い主と犬との現在上手く行っていない関係を(飼い主を咬むのだから、うまく行っているとは思えないんだけど)リセットするためじゃないでしょうか。
犬を無視する(=構おうとしない)期間を過ごすことで今までどれだけ、どんなふうに構っていたのかを知る機会にもなると思いますし、何より、家族を咬むという生活から犬を解放してあげることが大切では、と思っちゃうのですが。
犬は、不安定な犬を見ると「なになに?どうしたの?なにがしたいの?」などと構うのではなく、背中を向けたり、相手がまるでいないかのように振る舞ったりしますよね。それは罰とかじゃなくて、優しさだと思う。
投稿: ルークママ | 2012年7月18日 (水) 07時51分
ルークママさんへ。
コメント、ありがとうございます。
人間って、自分の身に置き換えて相手を慮るという、優れた能力があるから、つい、愛だの命だのイヤシダのといった目に見えないものを信ずる傾向が犬を悩ましていると思うんですよ。
そんなことを考えながら、読んでいただけたらと思う今回の記事です。
>無視は可哀そう、って言うのは、「無視する=悪い子だから罰として無視します」って言う感覚なのかでしょうかね~。でも、この場合の無視は、飼い主と犬との現在上手く行っていない関係を(飼い主を咬むのだから、うまく行っているとは思えないんだけど)リセットするためじゃないでしょうか。
そうなんです。
ルークママさんが言うとおり、リセットは再構築のためにどうしても必要なんです。
何でもかんでも、罰だ罰だと洗脳されてしまうから、犬の行動の本質が見えない。それでいて都合が悪くなると、あれはリーダー論に基づくやり方だとか、支配論だとか…一言もそんなこと言ってないのに過剰反応なトレーナーが多すぎると思うんです。
体罰やどう喝という罰はいけないけど、社会的罰=(この場合無視)は我慢する脳を作るのに必要だと、東大のえらい博士が話してました。
その自分勝手な行動を我慢したことを認めることと、我慢することによるストレスを薄めるためにほめて認めてあげることだと言ってました。
これは、家族や群れを作る動物には必要なことだそうです。
巷で、無視はいじめにつながるということがありますが、あれはいじめるための無視でしょう。
「愛情遮断」は、いじめではない…犬が困惑するような人の愛を押し付けるな、と、言ってるだけです。
>犬を無視する(=構おうとしない)期間を過ごすことで今までどれだけ、どんなふうに構っていたのかを知る機会にもなると思いますし、何より、家族を咬むという生活から犬を解放してあげることが大切では、と思っちゃうのですが。
そうそう、噛みつきからの解放ですね!
ルークさん、うまい!いい表現ですね。
今度使わせてくださいませ~❤
>犬は、不安定な犬を見ると「なになに?どうしたの?なにがしたいの?」などと構うのではなく、背中を向けたり、相手がまるでいないかのように振る舞ったりしますよね。それは罰とかじゃなくて、優しさだと思う。
そうそう、犬のやさしさはシンプル!易しさだからね。
人のように周りめんどくさい手順など踏まない、ストレートだし。
犬は、めんどくさいやつは好きでないですからね。
チェシアはリデルにすればめんどくさいヤツなんです。
だからチェがあまりにもめんどくさいと、無視していますし、自分から離れます。
だからといって、すべてを否定するのではなく、その行動が改まれば受け入れますもの。
犬のことをよく観ろというのは、そういうことだと思いますけどね。
投稿: へちまこ | 2012年7月18日 (水) 09時58分
まったく、同感です!
我家にエアデールパピーがやってきました。
先住エアデールのゴーがパピーに対してとる行動を見ていると、
本当にシンプルでストレート!!
ゴーが子犬の頃は、いかに私たちがかまいすぎていたのかがよくわかりました^^;
(だからゴーは甘噛みがなかなか直らなかったのかも。。。^^;)
投稿: だんご | 2012年7月18日 (水) 11時15分
この記事は我が家のためかと思うくらい非常に非常に参考になる内容ですが、あの、その、長くなるという対応処置の部分もぜひ書いてください♪
投稿: とんび | 2012年7月18日 (水) 14時07分
だんごさんへ。
コメントありがとうございます。
見に行ってきましたよ~~黄色くん。
黄色くんというからには、男の子ですね。
犬の男子って、かわいいんですよ。
ゴーちゃんも、アリアンちゃんもよいおねーさんしてくれそうですね。
犬はさぁ~シンプルでストレートでないとわからないですから。
今回はゴーちゃんもアリアンちゃんもいるから、たぶん大丈夫!
投稿: へちまこ | 2012年7月18日 (水) 22時45分
とんびさんへ。
非常に非常に参考になりましたかっ!
よかったよかった。
書くと長いんで、メールにしますね。
投稿: へちまこ | 2012年7月18日 (水) 22時47分
愛の遮断、必要ですよね。
これをするからといって、優しさに欠けてるとは思いませんし
むしろ、犬に解りやすく伝える手段が無視ですから
とても愛あることに思えます。
してはいけないことをして、叱るよりも無視の期間を設けると
犬もいつもと違うことに?と頭に浮かび、する必要なかったと
選択していけるようになるんでしょうかね。
我慢することで成長する愛犬をみるのは家族として嬉しいことですね。
シャルルの件では有難うございました。
今後の彼の生活は幸せに満ちてるはずです。
投稿: こうた家 | 2012年7月21日 (土) 14時24分
こうた家さんへ。
コメントありがとうございます。
コメ返しが遅くなってしまって(*_ _)人ゴメンナサイ です。
>愛の遮断、必要ですよね。
これをするからといって、優しさに欠けてるとは思いませんし
むしろ、犬に解りやすく伝える手段が無視ですから
とても愛あることに思えます。
こうたママさん、ずいぶん強くなられたw(゚o゚)w感激です。
こうたママさんには、命と向き合うということがよくわかっていますものね。
今回のシャルルのことで…。
あれこそが命に向き合わない人間のすることですもの。
このご夫妻も自分の犬をとても愛していて、手をかけてあげたいんです。
そうしているうちにいずれはその愛が通ずると思っていたのかもしれません。
でも、何を強化するために食べ物ごほうびなのかが、食べ物をあげるという形だけが強化されたみたいでした。
だからごほうびをあげたいなら、今ままでの行動を修正させるためも、どうしても冷静に考える期間が必要でした。
犬がかわいそうという、無視は学習意欲をなくす、無視は冷たい(あれは無関心でしょうけど)と言うことばかりに囚われていては犬の行動の本質は見えてきませんもの。
>してはいけないことをして、叱るよりも無視の期間を設けると
犬もいつもと違うことに?と頭に浮かび、する必要なかったと
選択していけるようになるんでしょうかね。
我慢することで成長する愛犬をみるのは家族として嬉しいことですね。
すばらしィ~なんて月並みの言葉でごめんなさい。
こうたくんのようなやんちゃっこを育てるママさんの、犬を守る時には守れる強い意志が感じられますよ。
イケナイものはイケナイ!
ダメなものはダメって、教えるための無視ですから。
そのかわり、良い行動に注目し、ほめてごほうび(ごほうびはいずれ失くす)で、その行動を我慢できたことを認めて、強化すればいいことですから。
いまこのご家族は新たな犬との関係を築こうとしています。
遮断する側は犬をとても愛しているんですよ。
その愛してやまない人たちに「愛情遮断」を選択される意味があるとしたなら
その愛のかけ方ではその子にはわからない…を教えてあげることかもしれません。
犬が飼い主家族を咬む…さ程の人側の落ち度もないのに。
これは異常な関係ではないのでしょうか。
犬にもストレスなんですよ。
咬んでいいモノを咬んでいるわけではないから。
犬と人との良好な関係の再生の第一歩が「易しい(犬にわかり易いという意味ね)愛情遮断」なのです。
あ~~ごめんね…長く語っちゃったぁ((笑)
>シャルルの件では有難うございました。
今後の彼の生活は幸せに満ちてるはずです。
いえ、こちらこそ。
こうたママさんがシャルルを見つけてくれなければ、こうたママさんがシャルルを救いたいと思ってくれなければ、シャルルの救出は大幅に遅れたと思います。
暑い中、シャルルのためにありがとうございました。
投稿: へちまこ | 2012年7月24日 (火) 09時08分