ランコントレ・ミグノン 東京中野シェルターボランチアーズのみなさんへ。
16日は、長時間にわたり多数のご参加をいただき、誠にありがとうございました。
東京と言う、大都会のシェルターでは犬のストレス・マネジメントはとても難しいことだと実感しております。
シェルター周辺の公園はすべて犬お断りで、ああ、都会とは犬がストレス・フリーで暮らさせてあげるにはとてもハードルが高いと思いました。
そんな中でも保護された犬たちを懸命にケアする、ランコントレ・ミグノン・ボランチアーズのみなさんには頭が下がる思いです。
拙いところもあり、へちまこ自身、反省している部分も多々あり、また、お伝えそこねたことも多々ありで、この拙ブログを通じて、気付いたことおよび補足させてくださいませ。
★力づくで犬を極力動かさないでください。
犬舎から出す時、犬舎に入れるときにリードで引きずりださないようにして下さい。
どの子も出る時には自発的に出てきてくれるし、ボランチアーズのみなさんも犬が落ちつてからということをしているのですが、入れるときの拒否する子の扱いですが、食べ物を使って(ごほうび)を、投げ入れる、または、犬舎に人が先に入って呼びこむ、という対応をしてあげてください。
犬舎に食べ物を投げ入れるやり方はお見せしたとおりです。
この時の腕を伸ばしてごほうびを投げ入れる(どうぞ~や入って~という言葉使う)という動きが、ハンドシグナルとなります。
何回か投げ入れのち、ハンドシグナルだけで犬が入るようになったら、入ってからごほうびに換えていきます。
ハンドシグナルを出す2秒前に言葉(どうぞ~、入って~)を使い、その後ハンドシグナルをつけます。
何回か繰り返し、言葉だけで入舎するようになれば大成功です。
ごほうびも、ほめ言葉のち、食べ物です。
また、アキオ君は両となりの子がとても怖いようです。
それで入舎拒否があるようなので、できれば犬舎のお隣さんの入れ方を考えてくださると、ありがたいです。
犬が嫌がるなら、どんな子も嫌がる理由があります。
まずそれを理解してあげることと、こんな些細なことと無視はしないことです。
首輪をつける、リードをつけるところで噛まれるというのも、今までの扱いで犬が人間のすることに対して不信感があるかないかで変わってきます。
リードをつけようとしたら噛んだ、という犬は攻撃的ではなく、繊細な犬だと思ってください。
また、社会化期に(子犬期)充分な人とのふれあいが望めなかった子かもしれません。
シェルターへ来るまでの履歴がわからないので、時間をかけてリハビリをするということが必要かもしれません。
そして、苦手だから、毎回噛まれるのが嫌だからとつけっぱなしはしないようにして下さい。
つけること、外すことも、ごほうびトレーニングで、これは安全なこと、と、教えてあげてください。
ハーネスに関しましても、つけたがらない子に無理やりということは絶対しないでください。
いいものでも犬が嫌がるようになれば、いいモノではなくなります。
ハーネス着脱はまずは室内で、お散歩以外の時間を設け、着脱のエクササイズをごほうびを使って繰り返し行います。
これは、実演したとおりでスーミンちゃんも時間をかければ(でも1時間はかかってなかったはず)ハーネスを装着できたのをご覧いただきました。
犬は人を安全か危険かで分けけています。
人の行為を受け入れる、ごほうびがもらえる・・・という学習をシェルターの犬たちは数多く必要とする犬たちだと思います。
そして、強制的なことはしない。
力で犬を制しない。
犬が嫌だといったら(唸る、かたまる、不安げにする)すぐにその行為をやめてあげる。
ただし、ごほうびもやめます。
が、犬の触られるのを嫌がる部分を触れるようになる、エクササイズを行います。
ごほうびをモグモグさせながら少し触る(この時のごほうびはもぐもぐさせるもので犬にあげてしまわないもの。手の中にしまえるモノ。小さく噛み切れるようなモノがいいです。例:ソーセージ)
最初はモグモグから始めで犬が十分おいしいおいしいとなったら、触らせてもらう。
犬の正面にすわらないで、やや横か、犬の真横がいいです(正面はプレッシャーをかけてしまいます)
①モグモグ(時差で触る)→モグモグ(時差でやめる)繰り返す
②モグモグ(同時にさわる)→モグモグ(同時にやめる)繰り返す
③モグモグ(ごほうびが有ることを提示)を見せる(この時の手は手のひら側のグーで)→ごほうびを手の中に隠す→匂いをかかがせると同時に触らせてもらう→触らせてもらえたら(最初は指先で触るとかひと撫で)手の中のごほうびをあげる。(数回繰り返す)
⑤ごほうびを入れて手の甲側のグーにして犬に匂いをかがせますが、犬から少し離し、犬に触ります。触らせてもらえたらごほうびです。(繰り返す)
この時点まで来たら、ごほうびの提示をやめ、ごほうびより先に触らせることができたらほめてごほうびになります。
犬が嫌がったらやめますが、犬の傍からすぐに離れ、ごほうびもあげません。
短い(数秒)のタイムアウト後、再開します。
*触らせてくれている間は必ずほめ続けてください。優しく、穏やかにほめてください。
*次のステップに進めない場合は、前回に戻し充分なエクササイズを繰りかえします。
歯を当てる、噛んでくるという行為にはイケナイやNOを使わない。
イケナイということ、NOという言葉は、人から見て適切な行動を犬が学習し、充分なフィードバックがあるからわかるようになるのです。
何も学習させていない犬に、NOやイケナイという言葉は無意味です。
噛んできたり、歯を当ててきたら、すぐに犬の傍を離れ、しばらくその犬へ反応を返さないでください(無視)
人間側の望む行動をしてくれたら、ほめてごほうび。つまりよい行動で有ればすべてがほめてごほうびになります。
好ましくない行動で有れば、無視をすることになります。
★リードは犬の安全を保障するもので、犬の行動を止めるにとどめること。
リードの扱いに注意します。
犬がリードを引っ張って歩く、リードが張った場合は止まります。
犬がリードを引かなくなるまで、黙って立っていてください。
犬が引っ張らずに立ち止まっていたら、リードを緩めます。
緩るんだらほめて歩きだします。
ここでのごほうびは前進することがごほうびとなりますから、犬を呼びよせてごほうびをあげる必要がありません。
犬が学習すること。
リードにテンションがかかっていたら、進めない、緩んだら進める・・・です。
犬の行動をリードを強く引いて制することをしないでください。
ただし、犬の安全や他に危害を与えそうな場合は犬を制しますが、その場合もリードを手繰りながら犬の傍に人間が近づき、リードまたはハーネスの交差部分をしっかりと保持します。
またすれ違いが無理な場合は、リードを手繰り寄せながら犬に近づき、犬の肩や頭を人の膝や身体を使って進行方向や視線を遮りながら、方向転換をさせます。
方向転換できない場合は、犬が吠えている、興奮している間は声をかけずにずんずん歩きます。
多少ハーネスで引きずる形になっても、ズンズン歩いてください。
子犬ではないので、その場でおやつを出して気をそらせるやり方ではなく、犬自身がその行動をしない、やめたということにほめてごほうびです。
★リードの長さを十分に与えてください。
120cmほどの短いリードですと、犬は引っ張ってしまいます。
その子によって引っ張らないリードの長さが有りますので、まずはその長さを探ってください。
都会の公道でのロングリードは扱いが大変なのですが、16日、見させていただいた子は、どの子も2ⅿもあれば十分に歩けるようです。
その2ⅿで犬を自由に歩かせてあげてください。
左に付けなくてはイケナイとか、差し障りがないのにやたら短く持つとかは、犬がストレスを感じてしまいます。
ストレスは、過剰反応を起こしやすくします(噛む、吠える、飛び付く)
危険なモノがない限り、匂いをかがせてあるお散歩を楽しんでもらってください。
今回、拾い食い対策として「おいしいものは上から落ちてくるよ作戦」で、食べ物を上から落としていましたが、16日の子たち、ヨルちゃん、あきお君、ダックスのルッちゃんは、もう充分上を向くことと、自分からアイコンタクトをとれるようになってきています。
ごほうびを上から落とすことを控えて、人への確認(アイコンタクト)が犬からあれば手から、ほめてごほうびをあげてください。
この日は指先のごほうびを人の指を噛まずに食べるということができない子もいたので、投げて与えるようにしていましたが、後述のエクササイズで早めに人の指を噛まずにごほうびをもらえるように学習させてください。
あきお君は吠えて要求を通す場合がありますが、要求と違う行動をするとすぐに吠えやむので、よこせ!というお散歩中の要求にはすぐに歩き出して下さい。
★ごほうびをあげるときに噛みつく犬には噛みの抑制を教えます。
噛みつかれるからすぐに与えてしまうのでは、いつもでも同じことを繰りかえさせることになります。
指先のごほうびを人の指を噛まずに食べてもらうようにします。
ごほうびをグーで握り犬の鼻先に差し出します。
犬はほしくて、強く歯を当てたりしますが、グーだとたいていの犬が強く噛んできません。
歯を当てることはあっても、人が少しがまんして、犬の行動を待ちます。
痛いから手を引っ込めてしまう方がいますが、目の前にあるモノが消えてなくなるころは犬の口は閉じていて、なにがイケナイのかは学習できません。
また引っ込められる、隠されてしまうと犬が思い、余計に早く食べなければと強く噛むようになる子もいます。
だから、ごほうびのある手を隠さないでください。
犬が歯を当てるのをやめて、拳をぺろぺろしたら「いいこね~ぺろぺろね~」と、言いつつグーを開いてごほうびをあげます。
これを数回繰り返せば、犬はペロペロすればごほうびだ、と、学習します。
ごほうびの持ち方をグーから徐々に指先に移していけばいいのですから。
ペロペロ以外の口の使い方、大きく開ける、強く噛んでくる、歯を当てるという行動が出た時だけ、「痛いよ」(犬がキャンというような声、だだし大声ではない)で教えれば大概の犬は強く噛まない方がいいと、学習します。
そして、今回もフリース・ラインド・ハーネスによる、ハーネスマジックを実体験していただけたことが、HUTSGの喜びでございますヽ(´▽`)/
引っ張って歩いてしょうがない、という子も引っ張らない・・・
犬の側の福祉に立った犬具って、本当に必要ですね、人間のためにも。
あ、それから、叱らなくていいんだ、と、知って、ほっとしたボランチアーズの方の笑顔が忘れられません。
いい子にしなくては、いい犬はこういうことをさせてはいけない、だから叱る。
ダメという言葉いけないという言葉を使う・・・これも使わなくていいんだと思うと、自分の気が楽になったと聞いて、へちまこ、こちらこそありがたかったです。
一日でも早く、一頭でも多くは、ここへ携わる人すべての願いだと思います。
100人ほどいるといわれるミグノン・ボランチアーズの方々に、並列した情報をお伝えしなければならないと思い、ブログ上の記事として公開することにしました。
これなら、ボランチアーズの方がいつでも共有できる情報として眼にできるものになります。
これから新しい家族に巡り会い、ここから出ていく犬たちには強制的な訓練方法は向いていないと、ランコントレ・ミグノン:代表 友森さんの方針でもあります。
少々、不安が入り混じりますが、保護犬たちのために、また、日ごろ限られた時間内で保護犬のために活動し、シェルター業務を続けてくださる、ミグノン・ボランチアーズのために今後も、努力を重ねたいと思っております。
ルっちゃん、かわいくてかしこかったですね~
早くもらわれればいいのにねぇ。
あきおもヨルも、他の子も非のうちどころがないから、早くいかないといなくなっちやうよ
拾い食いして困るって、ルっちゃん。
でも、この日は違うこと学んだから、ほら、もうリードもひっぱりません、それどころか自発的脚側できてます
ただし、犬ですから、明日になれば忘れてしまってることも…
だから、繰り返しが必要で、根気、忍耐、継続は人への言葉です。
簡単ジャーキーの作り方。鳥胸肉、2~3ミリにスライス、フライパンで焼く、電子レンジ600Wで6分で水分を飛ばす。レンジを使うジャーキーは水分が残り易いので冷蔵庫保存で。安くてうまいよ。
追記です:重要なことを忘れていました。
ハーネスを装着する時に、首を通す輪の部分の高さは、犬の視線と同じかやや下でお願いします。
上から入れようとすると、犬は怖がります。
犬が頭を自分から入れらるように誘導してください。
輪の部分を広げてあげるとわかり易くなります。
今回の記事に関しましては、無断転載、転用、コピー、トラックバックはご遠慮くださいませ。
ランコントレ・ミグノンさん関係の方はお声をかけてくださいませ。
お詫び:すみませんっ!団体名称、間違ってましたm(_ _)m
混乱してます、ランコントレ・ミグノンでした~m(. ̄  ̄.)mス・スイマセーン
« チェシア、モデル犬デビューす。 | トップページ | ちょっと遅いご報告。 »
「シェルターワーク」カテゴリの記事
- なるべく殺さないセンターで生きるシロの正の強化の歴史(2017.02.24)
- 10月18日、川崎市動物愛護センターでの譲渡会でした。(2015.10.24)
- ストレスが軽減されると斜視だって軽くなる!(2015.08.08)
- 6月12日のシロ。公道でノーリード犬と遭遇す・・・(2015.06.13)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
いやぁ~、とてもとても参考になります!
元気が良すぎる大型子犬がいる我家にとっては。
特に、おやつをあげる時に手までかじられないようにする方法、
さっそく試してみたいと思います。
ボランティアの方たちには、頭が下がる思いです。
私も何か行動しなければ、と思いつつも、決心が付かずにいます。
ボランティアの皆さん、お体に気をつけて頑張ってください!
投稿: だんご | 2012年11月20日 (火) 12時36分
へちまこさん、お疲れ様でした。大変参考になる記事、ありがとうございます。これを目にした方々が、従来の強制によるトレーニングを?と思ってくれたらとても嬉しいです。
私たち人間は、残念ながら犬の言葉を話せません。ですが、強制する必要もなければ、力ずくで教える必要もありません。テクニックさえ理解し、覚えてしまえば、これほど有効で健全で人間にとっても犬にとっても良い方法はないのですから。そして、このように惜しげもなくそのテクニックを公開してくださるへちまこさんの懐の深さ。別の方とは全く違い、条件づけして「これしたら、教えてあげる」みたいな上から目線。しょせん、犬よりも商売優先なんですね・・・と思ってしまいます。何か、話がズレズレですね。
いずれにしても、ありがとうございます!
投稿: Hiromi | 2012年11月21日 (水) 15時43分
だんごさんへ。
すっかーり、お返事が遅くてすみませんm(_ _)m
大きく口を開ける子には適したエクササイズですから、ぜひっ!
この手まで齧る子で対策に悩む人が多いようなので、特別大サービスしちゃいました!
カイザーくんもすぐにできるようになったと思うけど、どうかしら?
今度犬の砂場にも来てくださいね。
ミグノン・ボラさんへの励まし、お伝えしておきますね~。
投稿: へちまこ | 2012年11月28日 (水) 23時26分
Hiromiさんへ。
いつもいつも、ありがとうございます。
こちらこそ、拙ブログにお立ち寄りいただきまして感謝してますよ。
シェルターという言葉を考えれば、強制的な訓練は必要がないように思うのですよ。
人間のいうことをよく聞くいい子、というより、ここから先、シェルターから出ていった犬たちが
生涯、人間を好きでいてほしいと願っています。
願いですから、強制的なことではないと思うのです。
プロ一筋でガンバルお友だちにまたこれで叱られるかもしれませんが(;´▽`A``
まっ、これは無償で活動するボラさんへのメッセージとして生かされればそれで良いと思っています。
投稿: へちまこ | 2012年11月28日 (水) 23時40分