存在しない犬たちのこと・・・
まったくもってかわいやつだよ・・・
先々週、年末にかけて飼育放棄の多数の犬たちと保護犬たちがいるけど、
ジャーマンシェパードか、ベルジアンかわからない犬と、心病んでるような紀州犬と、
河原でホームレスから食用に飼ってるんだ?( ゚д゚)ポカーン←(へちまこ感)という犬を保護したので見に来てほしいと、センターから連絡がありました。
それで、先週、水曜日にセンターへ訪問。
職員のkさんに「半年ぶりじゃね?」と、少々、冷やかされながらも、犬の観察と不適切な行動へのアドバイスと、すぐに譲渡できるかどうかの評価です。
評価は、へちまこ等が出なくても職員さんでことたりるのですが、噛むやら(特に)心病んでるやら等には、声がかかり出向くことになります。
で、黒くて毛が長くてシェパードみたいな犬は、胸にある白い毛でベルジアン・シェパード・ドッグ・グローネンダールであるとわかりました。
グロネンは10歳、経済的な理由での飼育放棄です。
10年間、檻と自分の庭で自由になる以外は外を歩いたことがないということで…
食べ物を手からあげようもんなら、流血の状態になるのです。
これは、幼いころにヒトの皮膚は犬より弱いのだから強く噛んではだめとか、人の手指と食べ物を分けて口を使うことを教えてもらっていないということなんです。
これだけの大きな犬を飼うということに対して、何の考えもなく、不測の事態などお構いましに迎え入れたことがうかがえます。 かわいいのぉ~眼がグロネンだね
で、この獅々舞いのようにカポカポと歯を鳴らしながら手の中にあるごほうびを奪い取る口の使い方の改善と、人とのつき合い方を学んでいただくことに。
写真は、グーで出して(いや最初、グーで出しても噛んできて血滲みましたし、青たんできました)
ペロッとしたら、手が開いてごほうびがもらえます。
どうにか30分近くかけて、ご覧のように噛まずに鼻タッチができたらごほうびと、言うことがわかるようになってきたところです。
でも、明日は元の行動がディフォルトしていると思うので、当分、これを繰りかえしこちらの行動がディフォルトするようにトレーニングしていくしかありません。
あ、そうそう、この子は♂です。
飼育の仕方はどうあれ、強制的なしつけを受けてこなかったのが幸いしてるのか、素直で、強制的な訓練や過度の服従、ガードドッグの訓練などとは無縁だったらしく、訓練系シェパードが持つ警戒心がないのがひとつの救いのように思えました。
食べ物をくれる人はすべていい人~という考え方が悲壮感のない犬にしているように思えます。
身体的な虐待はしなかったし、ごはんも与えられていたけど、社会性はところどころ欠如しているということになります。
頭の回転もよく、すぐに立ち直るところはを見ていると、これから先充分なヒトとの関係を築ける子です。
ここへ飼育放棄で入ると、いったん、この世から消されてしまいます。
そう、記録上は存在しない犬になります。
持ち込み飼い主に対して、「明日は殺される運命にある犬」として、説明します。
それはあなたがそうしているんだと、伝えます。
新しい家族を探す努力もせずにセンターへ持ち込む飼い主は後を絶ちません。
殺処分ゼロが願だとするなら、繫殖者や生体販売への法律を厳罰化するのもありでしょうが、このような飼育者への厳罰化も考えていく時期に来ているのではと、思った次第です。 「よ、オイラ、こんなんだけど紀州だからな、そこんところヨロシク」
そしてこの子が、心病んでる。とか言われている紀州犬、1歳半から2才ぐらいということです。
この子も庭で放置状態で3頭で飼われていたそうです。
で、もういらないからといわれたうちの1頭で、後の子は「調子に乗るな、あとは自分でどうにかしろ」と、追いかえしたそうです。
道をまともに歩けません。
建屋が怖くて近づけません。
敷居が怖くて這いつくばります。
階段も怖くて数段上がるのに30分は必要です。
バイク、自転車、車に見慣れない人も怖くて固まります。
大きな音も怖くて、怖すぎるとヒトの脚咬みます(矯正可能の範囲です)
でも、いい子ですよ。 「オイラ、こう見えても坊ちゃん性質全開だぜ~。」
そう、どこかあどけなくてまだまだ幼さが残る紀州くんですが、前途は多難でしょう。
この子も放置で飼われてはいたけど、身体的な虐待がなかったようで、基本、人には慣れています。
が、日本犬らしく、ガサガサと触れられるのは好みません。
口はソフトマウス、ごほうびの受け取りも優しいです。
この日は、食べ物ごほうびをうまく使いながら、やっとのことで周辺を歩くようになりましたが、何かあると這いつくばって動こうとしません。
根気よく、社会化とコミュニケーショントレーニングを行える人じゃないと。
まぁ、グロネンくんも紀州くんも、なんだかなよなよした身体をしています。
まずは、心身共に健康をとりもどせますよ~に。
それから、写真撮り忘れたけど、食用だというホームレス犬(バカも休み休み言い給えよ)
人慣れ、社会化のために職員室で暮らしています。
白い犬、空(♀)は順応性が高いようだけど、ルイ(♂)の方はバリケンをあてがったら出てこなくなったというので、バリケン上部は撤去!
ルイくん、「かーーーーっ何すんのよ~(°°;)))オロオロ(((;°°)~」と、慌てふためいていましたが、バリケンに頼るより、人に頼ることを学んでくださいな。
FAX音でガタガタ、コピー機でブルブル、モノが落ちたらガタブル…
こちらも前途多難なようです。
人が触れることに関しては過剰な反応はありませんが、好んではいないようです。
でも、ほとんど矯正可能な範囲です。
食用として飼われているより、これからは人の家族の一員としての未来があるんだから。
いろんな音、何でもないことがたくさん増えますように…。
まだまだいるよ~、かわいい子 A・コッカー(遺棄)さんもいます。
M・ダックスさんもいました。
かわいい子なのに迎えのないテリヤミックスの子…かわいがられていたようなのに、なぁあぜ、お迎えに来ないんでしょうね。
川崎のセンターにいますが、業務に差し障りのあるような問い合わせはお控えくださいませ。
個人の引きだしにセンターは対応していますが、譲渡前、講習会を聴く義務があります。
川崎のセンターでは、ハーネスによる犬のリハビリが主流になりました。
ハーネスも装着したままではなく、その都度外し、またつけるということを実践しています。
手間がかかりますが、手間をかけることで、犬たちに人に身体を触られることはなんでもないことと、学習してもらっています。
手間や時間をかけることがどんなに大切か、それができない人は犬を飼うことをしないでほしいですよね。
今週は無理かもしれないけど、来週はセンターへ行こう。
みんなが心配だ。
では。
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コメント
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お話されていたのは、この子達だったのですね。
みんな其々課題はあようですが、放置されていて警戒心無しということで不幸中の幸いですね。勿論、放棄されたことに幸いは全く存在しませんが・・・どうか、終の棲家になる家族と巡り合えますように。
今「逝きし世の面影」という本を読んでいるのですが、1800年代徳川期から明治期の日本の生活を外国人の文献や資料をもとに書かれた本です。そこに以前の日本人が犬猫や牛、馬、鶏に至る動物たちとの生活を記載している箇所があります。そこには、私達の先祖達は犬猫、家禽達は食べるために存在するのではなく、家族として労役を与えられ、死んで食されることはあっても食べるために殺すことは無かったと書かれています。また、手に負えない馬に対しても、自分達の仲間と認め人間の仲間同様、馬が欲しないことを自己の利便のために強制することを嫌ったと言います。こんなにも命あるものに対し、人間至上主義にならずに優しい世の中だった日本は、どこへ行ってしまったのでしょうね?
投稿: Hiromi | 2013年1月29日 (火) 11時46分
我が家の愛犬も4歳半にして家庭犬デビューした為、極度に臆病です。 最近やっと見知らぬ人でも逃げ出さず撫でられ、他犬に対してもキャリーの中や、距離が取れればバタつかない様になってきました。 まだまだ時間はかかりそうですが、焦らずゆっくり慣化させて行こうと思っています。
私の息子がドイツにホームステイした時に、施設(ティアハイム)からの犬譲渡時の審査や、譲渡後飼育状況審査の厳しさに驚いていました。 ブリーダーさんも飼い主さんと何回も面接をし犬を譲るのだそうです。 税金の高さにも驚いていました。
へちまこさんの言う様に飼育放棄する飼い主さんの厳罰化も必要でしょうが、私はドイツのように飼育放棄しない環境作りも併せて必要と思っています。 動物と暮らせる人も減るでしょうが、飼育放棄される動物も減ると思います。
ただ飼育放棄でなくとも、食用は当然”論外”です!
投稿: syuipapa | 2013年2月 3日 (日) 22時33分
Hiromiさんへ。
日本が忘れてしまったことは、大きなことかもしれないと、Hiromiさんのコメ読んで感じました。
曲がり屋のある岩手の農家では、馬も大切な働き手であったためにちゃんと屋内飼育されていたと聞いたことがあります。
情報の高速化、飛躍的に伸びた寿命、飽きることのない食べ物や娯楽・・・
忘れてはいけない何かを、センターの犬たちは語らずに教えてくれているようです。
投稿: へちまこ | 2013年2月 9日 (土) 00時22分
syuipapaさんへ。
厳罰化にすると、今度は黙って棄ててしまう方もいるので、syuipapaさんの
ご意見のように飼える人を厳選するって本当に必要だと思います。
そして、過剰繁殖を抑えることが一番だと、思っています。
食用って、ホームレスさんの冗談だとは思いますが…ちょっと、本気かも?
なんてことは考えたくもありませんが(;´▽`A``
投稿: へちまこ | 2013年2月 9日 (土) 00時30分