存在しない犬たちのこと…サヨナラの予感。
2週間ぶりのグロネンくろちゃん。
どんどんどんどん、かわいくなっていく。
どんどんどんどん、かわいくなっていくころにサヨナラの近づく予感が。
ここにいるより、ちゃんと我が家と呼べる安心で安全で、夜も人間がいてくれるところがいいに決まっている。
そんなことはわかっている。
そろそろ、良い個人でも団体でも探してあげないとならないとわかっている。
でも、クロちゃんにはチョークなど使ってはほしくない。
どうして巷のシェパード好きは訓練をしようとするのだろうか?
どうしてチョークチェーンを使うことを無上の喜びにしようとするのだろうか?
犬が望んでいるのだろうか?
センター職員もへちまこも、クロちゃんやシロちゃんは特別扱いしてきた。
だって、ほかの保護犬たちとは違うこと、『かじっちゃうよ』ということがあるから。 クロちゃんがかじっちゃうことの原因は大概が人間側の問題だ。
人間はバカだから犬をもらうとすぐに自分のモノだと勘違いする。
犬は、自分のために生きていて、自分のためにいろんなものを守ろうとするだけなのに、人間はバカだからそれは許すことができない。
力ずくや痛みでもってクロちゃんのかじっちゃうことを直そうとすれば、今のクロちゃんは確実に後退し、再び酷い咬みを与えようとする可能性があるし、それをなくすために強制的な訓練をすればするほど人間を信用しなくなるだろう。
犬をすぐに自分のモノにしたがる人間には、クロちゃんやシロちゃんの心の隙間を埋めることはできないと思う。
教えてもらってこなかったことが多すぎるクロちゃんも、近ごろは声をかけるとうれしそうにしっぽを振るようになった。
能面みたいだった顔にも明るい日差しが似合うようになったきた。
一緒に歩いていると、チラッと観る回数が増えてきたし、クロちゃんが先を歩いていても「ちゃんとついてきてくれているよね」と、振り向くようになった。
かわいいとしか言いようがない。
みんなで頑張ってきたということはこういうことだから。 ボール遊びが好きだと言うことがわかってきた紀州シロちゃん。
和犬らしく、知らない人にはおやつはもらうが、もらうだけで触ろうとすれば唸ってしまう。
おやつくれたら、もうお前なんか怖いからあっち行け!と、くるぶしあたりにパクつくし(笑)
職員さんでもあまり関わりのない人にはかなりの警戒心を持つ。
和犬らしい和犬だと思う。
それだけに時間をかけて関係性を築いてくれる人にもらってほしいのだ。
慣れている人に見せるシロちゃんは、やはり、かわいいかわいいシロちゃんだから。
クロちゃんもシロちゃんも誰にでもどうぞとあげられる子たちではない。
特別扱いしていることがこの子たちの安定させているからだ。
特別扱いとは、いい食べ物あげるとか、やたら食べ物やるとか、いやらしく気を使うとか、ベタベタかわいがるとか、そんなことではない。
常に、安心で安全な環境とそのような人間であるということを、犬たちにわかり易いメッセージとして伝えてほしいだけだ。
だから、恐怖や痛み、脅かしでもって、犬と人との関係を築いてほしくないだけなのだから。
どこかの施設では少しでも咬む可能性のある犬は処分の対象らしい。
川崎も以前はそうだった。
何もせずにいい犬なら右から左への譲渡だけで職員さんも楽だ。
川崎のセンターは全国一殺処分数が低い。
限りなくゼロに近い殺処分のある施設だ。
以前なら、クロちゃんもシロちゃんも処分の対象になる犬だろう。
最初から人と暮らすにはかなりの問題がある犬なら分かるけど、クロちゃんもシロちゃんも、ましな人間に出会うことができなかっただけだ。
人間に原因があって、犬側にまだ人への信頼の回復の可能性があるなら、希望という名を厭わないでいたいと思う。
私は、クロちゃんシロちゃんがかわいくて仕方がないから。
どうか、どうか、この子たちをもらう人間がこの子たちに過大な望みをかけないでほしい。
それだけが願なのだから。
だって、この子たちは充分人間の身勝手さに付き合ってきたのだから…。
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