Make Haste Slowly 「急がば回れ」
同族好きそうに見えるチェシアでも、馴染みのない犬がいる場合は遠巻きにしていることが多い。20mほど離れた所の常連の犬たちを穏やかに観察するチェ。
常連の犬たちは走りまわる、または食べ物ねだりで吠えが続くがチェは静観。
今10ⅿ離れてほしいとアドバイスを受けた保護者さん、自分の犬がこのぐらいリラックスするようになってから、次のステージに進んでほしい。
先日の記事で、犬に過剰反応する、興奮すると言う行動に対して、興奮しない、過剰反応しない距離を保てと伝えしました。
すると、「それではいつになったら、犬に過剰反応しない、興奮しないと言うことを教えられるのか?」
と、質問を受けることも多々。
それなのに、10mも20m(場合によっては)他犬から離れるようにしてくださいと言うと、この対応に疑問を持つ犬の保護者さんがいます(;´▽`A``
では、これを人に仮定して考えてみます。
あなたの大嫌いな人やら何かが見えたら、あなたはどうしますか?
1.逃げる
2.隠れる(避ける)
3.無視する
4.睨みつける
5.戦う
さて、いかがでしょう?
ちなみにへちまこは、1の逃げると2の隠れる・・・逃避です。
で、もし、どうしようもない、ある条件でそこから逃避できない場合は、相手を無視します。
それでも、相手が無頓着に寄ってきたら睨みつけて(来るな)といいます。
で、それでもそれが有効でないなら、戦うしかないでしょうけど、最後まで逃げるチャンスをうかがうかもしれません。(情けない)
または心にもないことを言って宥和的態度に出て心で『ちっ!早く向こうへ行けよ』と思うと思います(゚ー゚;←このあたりは人間仕様ですね、建前です。
ええ、へちまこ、聖人君子、尊師ではないですからね・・・まるっといい人になりたいとも思ってはいません。
人間ですらこうなんですから、犬であればもっと情動からの行動が出てきます。
えっと、ストレスとは、フラストレーションの蓄積から起こってくるものですから、逃げられない、その場から離れていくことができないと言うことが、度重なると過剰反応が起こってくるわけです。
他犬が見えた、視界に入った、匂いが漂ってきたというだけで、突進や攻撃的な行動に出るなら、もう、かなりのストレスステージであることを考えなければならないと思うのです。
なら、一番選択肢に上がってくる、逃げる、ということを選択させてあげてほしいのです。
なぜなら、もうなにをしても、食べ物を出して宥めようにも、第一選択がストレスステージの5や6であると(セミナーハンドアウトで確認してね)なれば、犬に何かを学習させることはできないわけです。
その場で食べ物を食べられることは、リラックス度のひとつのバロメーターかもしれませんが、もしですよ、私たちの大好きなお金を1,000万円あげるよ、でも、ピストルを頭に付けられた状態で、絶対に撃ったりしないと言われつつも、取りに来いと言われたら?
ほしいわけだけど、必死、それこそ、生命の危険を感じながら手にしに行かないとならないわけですヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ
まぁ。これも度重なるなら慣れるかもしれませんが。
しかし、それは「慣らされた」ということかもしれませんよ。
慣らされたよりも犬が学習できる環境を整えるために、多くの選択肢を与えることを提案します。
そのひとつが、Behaviour Adjustment Trainig (ビヘイビヤ・アジャストメント・トレーニング)です。賛否両論ありますがお試しあれ~~
http://functionalrewards.com/
http://boogiebt.wordpress.com/2013/05/17/1-a-bat-seminar-boogies-bat-with-grisha-stewart/
http://markandreward.com/resource/bat-handout (日本語)
認知行動学は犬には効果がないと言われる方もいますが、犬にも心があると言うなら、認知行動学から派生する、行動療法は有効だと考えられます。
認知療法と行動療法は切り離なせないものとして考えられています。
このあたり、難しくなるから省きますけど。
認知行動療法とは、認知の歪みを客観的に正して、自分自身が感情や考え方を安定した状態にコントロールできるようにすることです。(ウィキさん読んでね)
飼い主の呼びかけに応えられない状況の犬をリラックスさせるには、ストレスレベルを下げることに手助けし、その環境が『ここは安全である」と、犬に認知してもらうのものなのですから・・・
逃げ道の選択・・・急がば回れ・・・は、犬にとって生命の安全を保障するものなのですから。
そして、即効性はありません。
でも、確実性はありますから・・・
保護者さんや、これを読む方が過剰反応しないよううに願っています。
はぁ~~~あの子たちって、どうしていつもクレイジーにボール追っているの?
只今、ボール保持中って、すでに15分もこのまんま
では。
« スプリンクルズやトリーツボックスを使う前には見直しを。 | トップページ | 信頼されるということ。 »
「サリー的スプリンクルズとトリーツ・ボックスの活用のこと。」カテゴリの記事
- 「BATがなぜうまくいかないか」の続き(2014.05.30)
- 犬の口の感覚のこと。(2013.08.11)
- Make Haste Slowly 「急がば回れ」(2013.08.02)
- スプリンクルズやトリーツボックスを使う前には見直しを。(2013.07.30)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
こんなところにこんな記事が有るのを見逃していたのです!!!
このBATには、一日セミナーのDVDガ有ります。全部英語なのですけど、そこで、実際の犬を使ってのデモが行われています。
例えば「怪物(大きな犬等、恐怖の対象)」にストレスを感じて興奮して吠えててしまう犬等では,、、
ハンドラーが一緒に近づき、いわゆるカーミングシグナル(代償行動、かな)を見せた犬に対してyesあるいはクリッカーを使って立ち去ることで、ストレスレベルを下げていく、つまりはならしてゆく工程のデモを見せています。
トレーニングとしては、離れていて、犬を褒め、そしてもう一度アプローチ。さっきより近づいて、犬が何らかのストレスサインを見せたところでyes/クリッカーで、その報酬として怪物から離れる。 ストレスサインの出方をチェックしながら徐々にストレス対象に近づきながら「慣らして」行っています。
この工程で、犬は「自ら離れる」ことを選択することを学習し、また、ストレス対象となる「怪物」に慣れる。。。
等等・・・。
それから、中で紹介されているパピークラスの様子も、とっても面白いです。子犬達の語る端的な正直な犬語に感服しました。
投稿: kuro | 2013年9月24日 (火) 16時43分
kuroさん。
コメントありがとうございます。
私も忘れかけていた記事ですよぉ(笑)
BATという名前がついていたと知ったのは、私がこの方法を教えてもらってから、ずいぶんと後でした。
BATをよりよく使うには、人間側が犬の出す静かなシグナルを読み取る必要があるようですね。
また、BATがその犬にとって、有効か有効じゃないかは、犬のサインの見落としに気をつけないと、なかなか有効にできないのではと、近ごろ、感じています。
DVD,みたいですね~、どこかで手に入るのでしょうか?
投稿: へちまこ | 2013年9月25日 (水) 00時08分
BATは、この本の著者(の友人)がつけた造語だそうです。猫の行動についてもやっているので友人がもじってBATがいと言ってくれたとか,、、
彼女は、ストレスサインの中の、臭いを嗅ぐとか鼻をなめる等のサインではなく、より行動としてとらえやすい(将来選択する行動として定着させやすく、しかもハンドラーに解りやすい)行動をとらえて、functional reward を与える,、しかも、その後で、言葉や、時にはおやつというご褒美も与えたりしているのですけど、
なかなか面白い。
Dogwise から買いました。
http://www.dogwise.com/ItemDetails.cfm?ID=DTB1164
けっこういいお値段です。
一緒に鑑賞会をしてもいいのですが、、、、但し、3ディスク、5時間と長い。
投稿: kuro | 2013年9月30日 (月) 13時33分
kuroさん。
情報、ありがとうございます。
おお、いいお値段でした・・・
それになんと、5時間・・・中身はもちろん英語だし。
うわ。通訳はkuroさん?とか(笑)
でも、楽しそうで・・・みたいなぁ。
BATは、なかなかよい道具だと思って、超大型犬の飼い主さんにも薦めて
アドバイスしてきましたが結果は良好でした。
それに行動として捉えやすいということは、ハンドラーも助かると思うので
そこを勉強してみたいです。
今の観てた?わかった?
と、言われても、CSの場合は見落としが多いですもの。
いつか、観賞会を望んでいます(笑)
投稿: へちまこ | 2013年9月30日 (月) 23時21分