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2016年7月 9日 (土)

殺されないから幸せなのか・・・その2

センター収容犬に行うさまざまなエンリッチメントやトレーニングは犬のためでありますが、もうひとつ大事なことはそこで働く人のためでもあります。

昨日は、行政公認のボランティアと行政職員との会議でしたが、会議が始まる前にS係長が(この係長がスーパー係長なんです!)顔を少し紅潮させながら、「廣田さん、吠えてる時間が減ってきました!それにハーネスをほとんどの職員につけさせてくれるようになってきて、今日はドライヤーをイライラガウガウせずにかけさせてくれて、感激しました!」と、伝えてくれました。

...

コマちゃんも長期収容の犬で、関わる私たちにとってはかわいい犬だけど、初対面の人には吠えてしまうので、けして譲渡しやすい犬とは言えません。

それにおまけに耳が聞こえないのです。
それだからか、常にイライラし、吠え続けることも多く、犬に寛大になろうと思っている事務系の職員もコマちゃんの吠えへのイライラが多くなってきました。

よくない傾向です・・・職員すべてが犬好きとは言えない環境で、吠える犬が職員室にいることは難しくなります。

だからといって、下の犬舎に移せばいいというものではなく、犬の吠え声は気にならなくなりますが、移された当のコマちゃんはもっと苦しむのです。

コマちゃんは、人が好きなのです。

知らない人に吠えかかっても、コマちゃんは人間といたがる犬でした。だから、人気のない犬舎ではなく、職員室にいるのです。

私は今まで、シロのことだけをやってきてしまいましたが、ここ数ヶ月はコマちゃんのことも依頼を受け、地道に(笑)エンリッチメントと正の強化によるハズバンダリーやってきて、コマちゃんに多くの行動が増えてきていることが確認できるようになってきました。

コマちゃんはくいしん坊ですので、食べ物を使うエンリッチメントをシロよりも多く実施しました。

最初は、デキナイ!ワタシイヤ!メンドクサイ!アナタアケナサイヨ!と、人の顔見て吠えていましたが、形体を変え、中身を変え、匂いの強いものを加えていくと、取り組む時間が徐々に伸びてきました。

人が指示することを実行して、ただ食べ物をもらうより、コマちゃんは採食エンリッチメントに夢中になってきました。

ただ、コマちゃんは耳がほとんど聞こえません。

なので、ステキツールのクリッカーが使えないのですが、そこはハンドシグナルやつい口で褒めていくうちに、コマちゃんが人間の表情を読み取れるようになったようで、「これでいいんだ!」ということもわかってきたようです。

コマちゃんという犬が望んだものは、食べ物をくれる、散歩をしてくれるだけではなく、その退屈さから来る要求過多の解消だったのかもしれません・・・

最初の課題だった、ハーネスを誰でも着けさせてもらえるように受け入れてもらうことも、クリアしました。

ハーネスを着けさせてくれるのが特定の人だけでは、職員さんはお休み当番のときのローテーションを組むのに苦労します。

それも装着を二人で組になり、一人はフィーダー、一人は装着というスタイルで、今ではほとんどの職員が着けれるようになったのです!

そして、そのことに喜び、犬の楽しめそうなことを自ら探し、創意工夫をしてくれる・・・

私ではなく、センター職員が犬たちのためにスキルを身につけていく・・・これこそが市民が望むであろう、センターの姿だと思うのです。

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殺処分ゼロのために留め置かれる犬や猫たちは、常にストレスに曝されます。

それを無視して、ご飯だけやって犬舎だけで暮らさせる殺処分ゼロに、何の救いがあるのか・・・

この環境ではできないということを探すより、できることを探し、犬も人もニコニコな毎日を過ごせるよう、これからも考えていきたいです。

あ、みなさん、気付きました?

コマちゃん(犬)主体な、問題解決法だってこと・・・ここがわからないと救えばいい、という人だけが気持ちいい保護になってしまんですよ。

殺処分ゼロ、心地よい言葉が先行するこの社会。

保護収容するキャパはあふれるばかりです。

数を減らせない限り、保護されても動物たちの苦痛は続くのですから。

蛇口を閉めること・・・無責任飼い主ゼロ宣言!無責任繁殖屋ゼロ!


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