新『子犬、育ててます。』 ピコと睡眠
ピコは子犬のくせに眠りが浅い。
僅かな物音で直ぐに目覚めてしまう。
そのほとんどが警戒心顕で覚醒して吠える。
子犬というものはゆっすても眠っている身体を移動させても、睡魔が勝っていて起きることがないものなのに、ピコは音にとても敏感なのです。
慣れていないからといえばそうなのですが、野犬の子犬なので親も警戒心が強かっただろうし、収容された期間中は安心して眠ることはできなかったのでしょう。
劣悪な繁殖所の子犬は環境は最悪でも目が開らけば否応なしに人間を見ることになるし、少なくとも触れられることもあるし、ご飯をもらうこともある。
産まれて物心つく頃にはいろいろな人間に触れあえるのです。
ピコを観ていて、ずいぶん前、川崎市の埋め立て地で保護された野犬の子犬(既に生後3ヶ月近く)を思い出しました。
まるまる2ヶ月は人間を見ることも触れることもなかった子犬は、人間を敵視し、怯え、収容された犬舎の中を逃げ惑いました。
収容当初、優しい言葉をかけても、食べ物を与えても、命の危険が上回り、人間に寄り付くこともありませんでした。
ご飯を食べるのは、みんなが寝静まった夜中、眠る姿勢は壁に寄りかかったまま、いつでも逃げられるように座った姿勢で眠るのです。
衝撃でした…
ペットショップに売られる子犬は、少なくとも人間を知っている、これから暮らす社会の最初の扉を知っているのです。
喧騒の中でも人の目に曝されても、堂々と睡眠をとる子犬たちには、人間から見れば愛らしいでしょう。
ピコたち三頭の子犬たちは、現在、安心で安全な睡眠をとれる環境に暮らしていると思うのですが、これも人間側から見たことであって、突然吠えながら起きることはピコの本当の意味での不断の睡眠を提供できていないのだと思うのです。
いつかピコにもなにも心配なく眠ることができる心が育ちますよーにと祈りながら、ピコが眠っている間は、なるべく起こさないようにソロリソロリと動く人間なのでした。


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